2016年6月8日水曜日

鬱滞ラインの観立て方










  今回も、外形である姿形から

  ラインをどのように観立てていくのかの例です

  この画像は2016年5月の下旬のものです。

  この方は、この数日前から胃の周辺に違和感を覚えています。

  この消化器系の違和感が何処から生まれているのかを

  観立てることになります。


   


 
(基本 背面)



  基本の背中側の画像から、まず一見して見つけられるのは

  背中と腰のくびれの始まるあたりからの

  多少捻じれながら左肩を上げている、左上方に向かう

  偏り運動の勢いです。

  そこでこれはどこが起点となって

  生まれているのかを観ていくことになります。

  そうすると、これは胸椎12番か腰椎1番あたりから

  捻じれが始まっているように観えます。

  そこからどう云うラインによって
  
  この偏りを作っているのか観ていきます。


  「観る」と云うのは
 
  大変感覚的なものですが、簡単に云うと

  追っていく視線が「つっかえる」処を観ていくのです。



  そうすると、今の季節の体勢の特徴である
  
  上胸部の問題と下半身の問題が
  
  D8とL3で捻じれて、左右に入れ替わる、

  
  と云うところにくっきりとよく出ていることが

  判るのです。
  
  ポイントは、胸椎8、9番、3番

  腰椎3番、1番、になります

  (以下、胸椎はD~番、腰椎はL~番と略す)




 
(ライン図 背面)


  ここでは、オレンジのラインで左半身の偏り、

  黄色のラインで、その偏りを生んでいる裏の

  鬱滞ラインを示してみました。


  この方が違和感を感じている胃袋周辺の鬱滞は

  D8の左3側に表われています。

  (トレーナーの88の文字の左の8の上部中央

  免疫系、代謝機能の閊えではないかと考えられます。

  春の盛んなエネルギーの分散が

  閊え、途絶えて凝固してしまう鬱滞です。

  血流でもあり、肝臓の排毒機能でもあり、

  この閊えが、今季は胃袋周辺に塊となって

  凝固しやすいのです。

  これは、春や梅雨前に毎季表われる特徴ですが

  今季は捻じれの泌尿器が絡んで

  何かのきっかけで暴発しやすいのです。
 
  この方は感情的に暴発するというより

  胃袋そのものの動きの悪さとなっていて

  違和感の原因となっています。

  これがD11の左3側に入ってきていますから

  (トレーナーの88の文字の右の8の下部中ほど)

  腸の運動の不全感も引き起こし、

  それがL1に入っています。

  その下のL3の絡んだ消化器の鬱滞となっています。




(基本 前面)


 
  基本の前面側の画像です。これもまず一見して見つけられるのは

  この方の側から言って、右にヘソが向いていることです。

  重心は右足にあり、下半身全体が右に捻じれているように

  感じます。

  これは背面の右下肢に下りて行ったラインの影響ですが

  前面においては、右下肢の大腿部前部のラインの問題であると

  観受けられてきます。






(ライン図 前面)
  

  左下肢に繋がっていくオレンジのラインは

  泌尿器系が絡んだ消化器系の鬱滞ラインそのものです。

  左肋骨下部の胃袋周辺に観える鬱滞ラインは

  この方の違和感のポイントを示すラインですし、

  前面で顕著な左半身の鬱滞は何処から繋がってきている

  のでしょうか、、。

  ~これは、この画像ではハッキリ観て取れないのですが

  後述する黄色の上胸部のラインとの絡みから生まれてきている

  ことが他の画像から確認できています。~

  
 
  黄色の胸から上に伸びるラインは


  右胸に入り、D3と連絡して頸椎3を通って

  (上載の背面の画像の胸椎の上の方の赤丸ポイントがD3)

  右後頭骨下縁をなぞりながら、耳の後ろ

  頭部第4付近に入っていくかと思います。これは、

  乳腺の関係であり、また性ホルモンの関係となります。

  鼻や耳であり、めまいや匂い(臭み)に異常に敏感に

  なる傾向があるし、その場合

  耳下腺(耳の後ろ)そのものに違和感が出る場合もあります。


  
  全体として左半身の偏りが右下半身に捻じれていくように

  見えていたものは前面からはあまり強く感じられません。

  逆に前においては、左半身の偏りは右の上胸部から上と

  呼応しているようにも観受けられます。

  この画像のみだとここまでが限界だともいえます、、。

 
  しかし、ここから読み取れる要点(急処)は、

  D8の左3側、D11の左3側、

  もっとも重要なポイントとして

  前面画像の左下肢の付け根あたりに赤丸点として

  示したポイントとなるようです。

  ここから読み取った対症法としてこのポイントを、

  押圧ないし温タオル等で刺激して弛めること

  がこの方には、まず必須の対処になります。

  あるいは鬱滞ライン上を温タオルとか熱めのシャワーとかで

  当てて流すことで、心地よいぽんとを見つけてもよいです。















 


2016年2月9日火曜日

愉気の通り道 ~肩と足首の連動から観る






 下の動画は、HPや季読み帖の「肩から足首~2016初春」の記事
 と、同じ肩の「処」を使った足首への連動を図る愉気を行なっている
 様子です。

 足首の観察者はまず、足首の可動性を観察しています。
 足首の鬱滞点を押さえてから、操者が肩から連動を観つつ
 愉気をします。

             画像が小さくて見づらい場合はyoutubeにてご覧ください。 
 
  この時、動画をよく見ていると
 肩からの愉気が通り気の密度が亢まるごとに、気のラインが足首方向に
 伸びていき、足首に繋がる感じが何となく「見え」ます。
 
 「見え」ると云うのは、主観的な表現で
 人によっては異なる感じ方をしますが、つまりは感覚で
 掴めるのです。
 
 
          
                  オレンジのラインが愉気の通り道
 
 またよく観ると肩から手の先の方向へもラインが伸びているのが
 感じられます。
 しばらくして感応が進むと、ひざ裏と手首付近に
 自然集注と呼ばれる自然に感応によって生まれた
 集注点がほやほやと温気を上げ始めているのも感じられます。
 
 このような感覚的なものは多少の実践的な経験と修練を
 積まなければ得られませんが、「何となく」感じるという
 素直で自然な感覚的な集注があれば、誰でも感覚できるものと
 言えます。
 
 
 愉気と云うものの基本は「感応」にあります。
 「感応」の前段階である「気応」での同調や共鳴が
 気の密度の亢まりに応じて、やがて相手との全体的な
 気の感応、饗応状態となるのです。
 
 相手の身体の感じを自分の身体でモニタリングもしますし
 体表情にラインを感じ、観てとることも出来るようになるのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 

2015年12月20日日曜日

ラインを見つける ~ラインとは何か











  身体には、ラインと云うものが描かれています。
 
  ラインは、季節の変化に呼応して
  エネルギー分散の鬱滞に伴い、その系統の筋道を生むのです。


         

 
 
  さて、この方のラインは何処にその道筋を描いて
   いるでしょうか、、、?
 
 
 
  
 
  ここ(下図)にラインが生まれています。
  この初春の上肢の痞えが現われているのです。
 
  さて、どこに、どのように描かれているでしょうか、、。
 
 
  ~画像によって、何故
   痞えた部分、エネルギーの不全が読み取れるのか、、
   これは何とも、答えようがありませんが
   実に大まかに、しかし的確に道筋が浮かび上がっている
   のです。 
  
 


 
 
 
  このオレンジのラインが、上肢の痞えたラインです。
  第5指(小指)の根元付近から手首、
  肘にひとつポイントがあり、肩の三角筋前部に
  落ちて、肩甲骨周辺に回りながら
  胸椎8番辺りに入っています。
 
  これには裏のラインがあり、腕の内側に回りながら
  鎖骨窩、そして胸骨の3、4枚目の溝辺りに入って
   います。
 
   この裏のラインとは何かと云うと、表のオレンジのラインの
   ポイントやラインそのものを決定づけている「鈍り」の
   鬱滞し、奥に隠れている原因のラインであると云えます。
 
   これらは呼吸器の疲労が上肢(腕)に痞えており、
   最終的に胸椎7,8番に入ることから、胸骨の片側縮み等を
   引き起こしているものだと考えられます。
 
   この鬱滞域が、やがて春本番の気の上昇に伴って
   頸部から頭部への流れを阻害する要因となっていくのです。
 
 
   右半身の薄紫のラインは、今はまったく隠れて身体に
   ストックされたままで、動いていない鬱滞ラインです。
   しかし、この人の季節の変化である体勢の転移に常に
   影響を及ぼしているであろう起因たる帯域といえます。
 
   ここに触れても、ゆすぶっても、そのままでは全く何の反応も
   示さない処で、ここを揺り動かし変化をつけるには
   いくつかの迷路のような道筋と手順と機会を観つけなければ
   なりません、、、。
 
  

 
 
 
 
 

2015年5月14日木曜日

動的ラインと鬱滞ポイント








  ラインと云うのは、身体の中にその時々に応じて
   刻々変化しつつ描かれるエネルギー分散のための道筋です。

   身体は季節の変化に応じて、もっともエネルギ―分散が行ない
   やすい「体勢」と云う構えを取ります。

   「体勢」は、もっとも活動する系統やその裏にあって連動して
   活動する系統などがたえまなく寄せて返す波のように
   複合的に、重畳的に折り重なるようにして、その時
   その季の体運動の特徴を織り込んだものです。

   つまりラインは常に変化展開するもので、
   常時一定のものではないのです。
   季節の影響を受け、個人の特性からも規制されます。
   そのような諸々の条件が折り重ねられて
   その時点でのラインが生まれるのです。

   上胸部の鬱滞であれば、腕や頸部などにラインが通り
   下肢であれば腰部や仙骨部、腹などに上がってゆくもの
   なのです。
   
   この静的な神経回路的なラインは、動的な運動系のライン
   に変換するものです。
   ライン上の鬱滞ポイントを押圧等で変化を促していく
   こともできますが、これを動的に相手の身体を
   操作することで、動きとその質的な変化を誘うことから
   鬱滞から変革的な展開に繋げてゆくことが可能なのです。

   



                                   画像が小さくて見づらい場合はyoutubeにてご覧ください。
 
 
    ①上肢の手首から始めています。
     手首の鬱滞点にジッと愉気していると
     ラインが上がっていき、その道筋上に
     視線がつっかえる点があるのです。
     それが、ライン上の次なる鬱滞ポイントなのです。
 
    ②ポイントは肘、上腕、肩と上がっていき
     頸部の付け根、後頭部、前頭部を通って
     眼に入っていました、
   
    ③このラインとポイントが動的なラインと
     なっているのです。
     それが腕を取っての操体操法となります。
     この場合、肘から上腕までたどる際に
     肩を前側に突き出しながら首に上がって
     いってます。
    ④このように動的ラインを操法として
     たどっていく場合、たどり着くまでに
     自然と他の動きを制限されるように
     詰めていき、最終的にその集注感、緊張感を
     ポッと一瞬に抜くことでショック刺激を
     与え、フッと弛めてしまうのです。